相続した家や建物を売却する前に、解体する必要がある場合があります。解体するときには、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?また、その費用を誰が負担するのでしょうか?ここでは、解体費用の相場と見積もり方法、節約するコツ、負担者の判断基準についてご紹介します。
2-1. 解体費用の相場と見積もり方法
解体費用は、家や建物の種類や規模、立地条件、廃棄物の処分方法などによって異なります。一般的な相場は以下の通りです。
- 木造住宅:100万円~300万円
- 鉄骨造・鉄筋コンクリート造:300万円~500万円
- アパート・マンション:500万円~1000万円
ただし、これらはあくまで目安であり、実際には個々の事情に応じて変動します。正確な解体費用を知るためには、専門業者に見積もりを依頼する必要があります。見積もりを依頼するときには、以下の点に注意しましょう。
- 複数社(3社以上)に見積もりを依頼することで、比較検討できます。
- 見積もり書は詳細かつ明瞭に作成されていることを確認します。内訳や単価が不明確だと、追加料金が発生する可能性があります。
- 見積もり書には消費税や廃棄物処分料などが含まれていることを確認します。含まれていない場合は別途支払う必要があります。
- 見積もり書には工期や保証期間などが記載されていることを確認します。工期が遅れたり保証期間内に不具合が発生したりした場合の対応を事前に確認しておきます。
2-2. 解体費用を節約するコツ
解体費用は高額ですからできるだけ節約したいですよね。そこで以下のコツを参考にしてみましょう。
- 解体時期を工夫する
- 解体業者は、春や秋など忙しい時期よりも冬や夏など暇な時期に仕事を取りたい傾向があります。そのため暇な時期に解体依頼すれば割引してくれる可能性が高まります。
- また、土日祝日よりも平日、朝早くや夕方遅くよりも昼間、雨天よりも晴天など作業条件が良い時期や時間帯に解体依頼すれば料金交渉しやすくなります。
- 周辺住民への配慮を怠らない
- 解体作業中は騒音や振動、ほこりやゴミなどの発生を抑えるために周辺住民に事前に挨拶をしておきましょう。また、解体作業中は道路や歩道の通行の妨げにならないように注意しましょう。周辺住民から苦情が出ると解体業者に迷惑料を支払うことになる場合があります。
- 解体物件の有効活用を検討する
- 解体物件に価値がある部分があればそれを売却したり再利用したりすることで解体費用を相殺できる場合があります。例えば、建材や設備、家具や家電などはリサイクルショップやオークションサイトなどで買い取ってもらえる可能性があります。
- また、解体物件をそのまま貸し出したり寄付したりすることで,税金の控除や社会貢献につなげることもできます。例えば,空き家バンクや空き家寄付制度などを利用すれば,相続税の特別控除や固定資産税の減免などのメリットが得られます。
2-3. 解体費用を誰が負担するか?
相続した家や建物を解体する場合、その費用は誰が負担するのでしょうか?一般的には以下のように判断されます。
- 相続人全員で均等に分担する
- 相続人全員が同じ割合で相続した場合は、解体費用も同じ割合で分担します。例えばAさんとBさんがそれぞれ1/2ずつ相続した場合は、解体費用も1/2ずつ支払います。
- 相続人ごとに異なる割合で分担する
- 相続人ごとに異なる割合で相続した場合は、解体費用もその割合に応じて分担します。例えばAさんとBさんがそれぞれ3/4と1/4ずつ相続した場合は、解体費用も3/4と1/4ずつ支払います。
- 相続人の中で解体物件を引き取る人が全額負担する
- 相続人の中で解体物件を引き取ることに合意した人がいる場合は、その人が解体費用を全額負担します。例えば,AさんとBさんが相続した家を、Aさんが引き取ることにした場合は、Aさんが解体費用を全額支払います。
- 相続放棄する
- 相続人が相続放棄することで、相続財産だけでなく、相続債務も放棄することができます。つまり、解体費用も免れることになります。ただし、相続放棄は法定期間内に行わなければならず、一度行うと取り消すことはできません。また、相続放棄した場合は相続権や遺留分権も失うことになります。
3.相続した家や建物を解体するメリットとデメリット
相続した家や建物をどうするかは、相続人の判断によります。その中でも、解体するという選択肢は、一見簡単そうに見えますが、実はメリットとデメリットがあります。ここでは、相続した家や建物を解体する場合のメリットとデメリットについて、詳しく説明します。
3-1. メリット
まず、解体する場合のメリットです。一つ目は、空き家問題や税金対策になるということです。空き家は放置されると火災や不法侵入などのトラブルの原因になりますし、固定資産税や都市計画税などの負担も増えます。しかし、解体すれば空き家問題は解消されますし、土地だけになるため税金も軽減されます。
二つ目は、土地価値が上がる可能性があるということです。築古物件は買い手が付きにくいため売却する際に値引き交渉されることが多いです。しかし、解体して更地にすれば建築条件付きで売却できますし 、土地自体の魅力も高まります。
3-2. デメリット
次に、解体する場合のデメリットです。一つ目は、固定資産税が上がる可能性があるということです。これは逆説的な話ですが 、固定資産税は土地価格や建物価格に応じて決まります。つまり、土地価値が上がれば固定資産税も上がります 。また、相続した空き家であれば3,000万円控除を受けられる場合もあります。そのため、解体してしまうと控除を失ってしまう可能性もあります。
二つ目は、解体費用を負担しなければならないということです。相続した家や建物を解体する場合は、
- 解体業者への支払い
- 廃棄物処理費用
- 解体許可申請費用
- 電気・ガス・水道等の切断工事費用
などの費用を支払わなければなりません。これらの費用は相続人間で分担する必要があります。また,他の相続人から異議を唱えられた場合,裁判所への訴訟費用もかかる可能性もあります。
4. 相続した家や建物を売却する方法
相続した家や建物を売却する場合は、以下の方法があります。
4-1. 売却方法の選択肢:不動産会社・業者・オークションなど
- 不動産会社に依頼する 不動産会社に依頼する場合は、複数の会社に査定を依頼して、価格やサービス内容を比較しましょう。また、専任媒介契約や一般媒介契約などの契約形態も確認しましょう。
- 業者に直接売る 業者に直接売る場合は、仲介手数料がかからないというメリットがあります。しかし、市場価格よりも安く買い取られる可能性が高いというデメリットもあります。
- オークションで売る オークションで売る場合は、競争原理によって高値で売れる可能性があります。しかし、出品費用や落札手数料がかかるというデメリットもあります。
4-2. 売却時に注意すべきポイント:相場・契約・税金など
- 相場を調べる 相続した家や建物の相場を調べることは、適正な価格で売却するために重要です。インターネットや不動産雑誌などで参考価格を見たり、不動産鑑定士に鑑定してもらったりしましょう。
- 契約内容を確認する 売却する際には、仲介契約書や売買契約書などの重要事項説明書をよく読んで内容を確認しましょう。特に、引渡し時期や代金支払い方法などの条件は注意深くチェックしましょう 。
- 税金を計算する 相続した家や建物を売却するときには、譲渡所得税と住民税がかかります。譲渡所得税率は15%~55%で変動しますが、一定の条件下では最高3,000万円まで控除される特例があります 。住民税率は10%です 。また、相続税も関係しますので注意してください 。
5. 相続した家や建物をリフォームする方法
相続した家や建物をリフォームする場合、以下の点に注意してください。
5-1. リフォームする際の注意点:耐震性・断熱性・設備更新など
- 相続した家や建物は、築年数が古い場合が多いです。そのため、耐震性や断熱性が低く、安全性や快適性に問題があるかもしれません。リフォームする際には、耐震診断や断熱診断を受けて、必要な補強や改善を行うことが大切です。
- 相続した家や建物は、設備も古くなっている可能性が高いです。そのため、水回りや電気回りなどのトラブルが発生しやすくなります。リフォームする際には、設備の更新や交換を検討してください。また、エコな設備に変えることで、省エネ効果やランニングコストの削減も期待できます。
- 相続した家や建物は、デザインや間取りが現代のライフスタイルに合わない場合もあります。そのため、リフォームする際には、自分の好みや用途に合わせてプランニングを行うことが重要です。例えば、和室を洋室に変えたり、キッチンをオープンにしたりすることで、空間の使い方が変わります。
5-2 リフォームする際の費用相場:工事内容・規模・地域など
- リフォームする際の費用相場は、工事内容・規模・地域などによって大きく異なります。一般的には、「部分的な改修」より「全面的な改装」、「内装工事」より「外装工事」、「東京都内」より「地方都市」のほうが費用が高くなります。
- リフォームする際の費用相場を知る方法としては、「インターネットで検索する」「賃貸業者や不動産会社に相談する」「リフォーム会社から見積もりを取る」などがあります。ただし、「インターネットで検索する」場合は参考程度に留めてください。「賃貸業者や不動産会社に相談する」場合は中立的ではない可能性があります。「リフォーム会社から見積もりを取る」場合は複数社から比較してください。
- リフォームする際の費用相場の目安としては、「部分的な改修(水回り一式交換等)」で約100万円~300万円、「全面的な改装(間取り変更等)」で約500万円~1000万円程度だと言われています。
まとめ